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OFFICINE UNIVERSELLE BULY

先月2月のこと。

「そうだ、パリへ行こう!」と決めてから1ヶ月も経たぬ間に私の足はパリ、シャルル・ド・ゴール空港の地に降り立っていました。エッフェル塔や凱旋門、ルーブル美術館にノートルダム大聖堂や奇跡のメダイユ教会、そしてヴェルサイユ宮殿...etc。気づくと治安警戒区にあたる17区~19区を除き、パリほとんどの地区を夢中で歩きまわっておりました。

 

4日目、この日は朝からマレ地区よりノートルダムへ。そしてシテ島からサン・ジュエルマン・デ・プレに向かって歩く途中のパリ6区ボナパルト通りに、「総合美容薬局」OFFICINE UNIVERSELLE BULY(オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー)はありました。

 

私がビュリーを初めて知ったのは遡ること高校生の頃。記憶は微かではありますが、おそらく現在のオーナーさんになる前のお店だったように思います。旅番組の中でパリを旅する歌手の方が立ち寄っていたお店でした。

 

今や世界58ヶ国でお取扱いがあり、店舗はパリ本店から日本・香港・ソウル・サンフランシスコ・ロンドン・コペンハーゲン...etcと世界的ブランドではありますが、歴史は200年にも及び、守り抜いたレトロフィーチャリスティックな世界観は、まるで1800年代の映画世界に入り込んだような...それは徹底したブランドの高い意識からビュリーの世界へと引き込まれていくです。

 

- 1800年代にタイムスリップしたような世界観 -


 

「 Bonjour 」と扉を開けると...「いらっしゃいませ」とシックな制服に身を包んだ日本人スタッフが出迎えてくださいました。連日、英語どころか馴染みの少ないフランス語に耳を傾けすぎていたからか...「いらっしゃいませ」が日本語である事を理解するにも少々時間がかかりながら。同時に安心感に包まれながらスタッフの方がビュリーの歴史についてお話してくださいました。

 

「18世紀後半、調香師であり魔術師ジャン・ヴァンサン・ビュリーがお酢から香水を作ったのがはじまりです。当時、香水は限られた人しか持つことができないものでしたがバラを愛したことでも有名なナポレオン1世の妻でフランス皇妃であったジョゼフィーヌが新種のバラを輸入栽培し成功させ一般に広まりました。その香水は1世紀以上も流行し“ビュリーの香り酢”と名付けられました。フランスで最古の総合美容薬局として18世紀からつづく昔ながらの秘伝のレシピを忠実に守り、革新的な技術を加え蘇えらせたのが現在のオーナー、ラムダン・トゥアミと妻のヴィクトワール・ドゥ・タイヤックです。現在はこちらの夫婦により世界展開をしております。」

 

- 今や、よく見かけるキャンドルにかぶせてあるこの鐘型のガラスカバーもランダム・トゥアミ発案だそうです -


 

これはまた別の記事にて詳しく綴らせていただきますが、このビュリーの200年に及ぶ歴史の中でふいに登場したジョゼフィーヌをインスピレーションとした香りを制作いたしました。現在[花と風と。]では【Body】 or 【Body&Facial】をご予約の皆さまへ、こちらのお香りにての施術を実施しております。幾度にも重なり調和するフローラルなジョゼフィーヌの世界を是非ご体感ください。サロンメニューはこちら→ MENU

 

この旅の時、香りはまだ制作段階であった為にビュリーの香水歴史の中にふいに現れたジョゼフィーヌに私はとても驚きました。ジョゼフィーヌがビュリーの成功の鍵となっていたことを聞かせていただき感動したと同時に、完成した香りをより一層みなさまに楽しんでいただきたいという思いが膨らんだ瞬間となりました。

 

ビュリーといえば定番で人気なのがハンドクリーム。

- どれを取ってもトキメキをくれるパッケージ -


 

大きくオーガニックとは謳っておりませんが、どれも天然素材をベースとし防腐剤やフェノキシエタノール等は不使用。安全でやさしい素材が並びます。

 

パリ市内のメトロの駅などですれ違うと「あっ!ビュリーの香り」と気がつくほど長年パリジェンヌの間で愛用されている香りが、いちばん人気の水性香水 “オー・トリプル” です。ローズブーケの中にジンジャーとベチバーがアクセントとなり深くも謙虚な存在感がスッと記憶に馴染む香りとなっていました。

 

そして私が最も興味深かったのがやはり“基礎スキンケア”のラインナップ。植物オイルやバターやクレイなど70種類以上並びお肌や体質により組み合わせ、処方してくださいます。日本では法律上“量り売り”は禁止されていますがフランスはそれが可能なためグラムでの販売が可能なのだそうです。

- 世界観に馴染むアンティークな量り器で量る姿がこれまた素敵~!


 

私は混合肌のためグリーンクレイやシアバター、ババスオイルを処方していただきました。シンプルな素材をシンプルに丁寧に肌になじませることで肌は安心、浄化し本来の肌質が保たれる。こちらの使用感の感想もまた追って更新いたしますね。

 

なかなか出会うことのできない植物オイルの数々に全てのお話をお聞きしたいところでした。シソオイルやカシスオイル、マスタードシードオイル、ガーリックオイル...etcどれも美味しそうな感覚になってしまいますが、全てボディやフェイスにスキンケアの基礎として使用していくもの。

 

その中でもスイカから採れるオイルはスイカの旬ともいえる夏に使用することで、肌の状態が最適に保たれると教えていただきました。

- 植物オイルのラインナップ-


 

「こちらはディスプレイですか?」と思わず、たずねてしまった髪用のブラシやクシ。体を洗うスポンジまで天然材量にこだわり、中でも驚いたのが “最古のデオドラント” と呼ばれる“アルムストーン”。

- 手前の真ん中が最古のデオドラント -


 

脇や足の気になるところにこする事で消臭効果が得られるとのことでした。自然のめぐみ、自然のチカラにまた驚きをもらった瞬間です。

 

日本の薬局でも薬剤師さんが薬袋に名前を書いてくださるように、ビュリーでも処方していただいた商品の一部の袋や瓶にカリグラフィーにて名前を記してくださいます。“最古の薬局” の世界観を堪能させていただいたと同時に、あまりにも美しい書体だったのでお伝えすると...

 

フランス店では世界的に有名なカリグラフィーアーティストの下で研修や練習を重ねているそうです。自分の名前を美しく記していただいた袋や瓶は宝物になり、またその瞬間もビュリーの醍醐味なのかもしれません。

 

深い歴史を守りながら、現代でも愛される秘訣はスタッフの皆さんの高い意識や努力。そして「自然のままの素材をシンプルに美容に取り入れる」ということを商品のひとつひとつを見ることでその素材の存在や恵みやありがたみをも感じる。また、一切手の抜きの無いビュリーのこだわり抜く世界観は多くのファンの心を世界中で掴んで離さないのだろう。

 

- 辞書のように美しいビュリーの商品カタログ。フランス語ver.-


 

量り売りが可能なフランスではエルボリストリーと呼ばれる植物療法の薬局が日常に馴染むように人々に愛されています。帰り際、スタッフの方がオススメの「Herboristerie de la Place Clichy」という店舗を教えてくださいました。こちらも1880年代創業の老舗ハーブ専門店。

 

今回の旅では向かうことができませんでしたが次回必ず行こうと決めました!

- クレイやパウダーだけでもこんなに種類が豊富 -


 

あの時あこがれた世界が広がる。この夢のような滞在をわすれない。とても勉強になることばかりの充実したひとときに感謝です。

 

また必ず行こう、パリ。