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あの時クラリセージと出会って

世界中で新型コロナウイルス感染拡大防止に努めます中、「花と風と。-Relaxing PhytoSalon-」でも4月中旬より当面の間臨時休業させていただくこととなりました。ご予約いただいておりましたお客様もこのような決断を快く承諾していただき心より感謝申し上げます。また、この事態の一刻も早い終息をお祈りいたします。

 

さて、今朝のことです。

私はお風呂に入ろうといつも通りアロマバスソルトを作るためアロマBOXを開けました。

長年バスソルトにはお料理にも使える粗塩を使用してましたが、お塩では風呂釜を傷めてしまうために最近はエプソムソルトを使用しています。エプソムソルトとは、硫酸マグネシウムと呼ばれるミネラルで塩分は全く含まれてません。温熱効果や筋緊張の緩和などに最適となり、バスグッズとして世界で人気を誇っています。

 

バスソルトには...エプソムソルトにアロマは2~3種を1~2滴ずつ。その日の気分で調合しています。その時ふと、私の頭にこんな事がよぎりました。「私がはじめて出会ったフィトテラピーはなんだろう?」と。

 

-エプソムソルトに少しだけ岩塩を足してデトックス効果を高めました。色味もうつくしく。-


遡ること20代前半。

当時の私はと2つの会社の仕事を掛け持ちしていました。そして時にはアルバイトをプラス...そんな多忙な日々からひどい月経痛が襲います。学生時代から月経痛は多少ありましたが、その痛みはうずくまって動くことが出来ず冷や汗が止まらないほどの痛みでした。そこから毎月「またあんな激痛がきたらどうしよう」と不安にカレンダーを気にする日々となりました。

 

そして、その痛みから負の連鎖かのように重度の肌荒れや不眠がはじまりました。当時、何も知識が無かった私は生理痛にはとりあえず鎮痛剤。肌荒れはスキンケア用品を変えようと化粧品売り場のお姉さんに相談。そして不眠はアロマランプに「ラベンダーのアロマ」を垂らして寝ることにしてみました。

 

自然におこなっていたアロマテラピー。「なんだかラベンダーは不眠に良さそう...」と何かで知っていたのだと思います。そんなラベンダーを買いに向かったのは今でもお世話になっている【生活の木】さん。全国にたくさん店舗があり、私も未だによく立ち寄らせていただいてます。その時スタッフの方から「真正ラベンダーがいいですよ。」と紹介してもらったことを覚えています。

 

真正ラベンダーとは別名「トゥルー(本物の)ラベンダー」といい、ラベンダーの品種の中でも最高級のラベンダーです。香りは時間が経つ事に一層の華やかさと丸み帯びた上品さがあります。刺激的な成分が少ないのでオイルに希釈し、体に塗る時も安心です。

 

今や真正ラベンダーの魅力をお伝えすることができますが、当時の私は...「え!?ラベンダーに種類があるの!?アロマって体に塗れるの!?」ととても目から鱗だった事を覚えています。

 

-ラベンダーは不眠作用があるのと同時に鎮痛作用もありますので生理痛にもオススメです-


当時の私は、アロマはデュフューザーやアロマランプで焚くものとばかり思っていたのでそれ以外の活用法を教えていただいた時は衝撃でした。スタッフの方に思わず「アロマって体に塗れるんですか?」と質問しました。(今じゃ考えられません笑)すると、スタッフの方がキャリアオイル(たしかスウィートアーモンドオイルだったと記憶しています)を持ってきてくださり「ここに2~3滴入れて塗るようなかたちになります」と教えてくださいました。

 

そして、私はひどい生理痛のことを相談すると"クラリセージ"をオススメしてくださいました。私が初めて出会ったフィトテラピーはキャリアオイルにクラリセージを希釈し、子宮のある下腹部に塗布するケアだったのです。

 

家に帰り、まずクラリセージを香ると身体が緩む感覚があった事を覚えています。これは愛用していたラベンダーも同じです。香りをキャッチするのは鼻の奥にある嗅細胞。ここで香りの情報は電気信号に変換され間脳にある視床下部へと伝達されます。視床下部は自律神経やホルモンの分泌、今は特に大切とされている免疫系などを統括する生命活動の司令塔です。なので香りを取り込むと身体が和らぐ感覚が生まれるのです。

 

そして、キャリアオイルにクラリセージを希釈し下腹部へ塗ったときは更なる効果を感じました。アプローチしているのは子宮のある下腹部だけであるのに全身がじんわり温かくなる感覚。これは今では「手当療法」であったと納得することができます。手当療法とは例えば、幼少期にお母さんが「痛いの痛いの飛んでいけ~!」と痛みの伴った患部に手を当ててくれたとき痛みが和らいだ感覚がありませんか?あれは歴とした手の持つ力を活かした手当療法なのです。大人になりますと「痛いの痛いのとんでいけ~!」とはなかなか出来ないものですが...自身の手で癒すことも、私たちセラピストのように癒すことも...可能になるのが手当療法です。

 

手当療法は何ひとつ難しいことはなく、手のひら全体と触れる患部に集中すること。できれば無心で心地いい深呼吸を取り入れるとより効果を高めます。手のひら全体の感覚が難しいかった場合は手のひらの中心など1ヶ所に集中する方法でも問題ありませんよ。とにかく大切なことは触れ合っている感覚。私は今では、足裏から痛みが抜けていくイメージなども取り入れています。ですから、セルフメディケーション(自己治療)としておうちでも簡単に取り入れることができるのです。

 

またしても当時の私の話に戻りますが、あの時クラリセージの壮大さを感じさせる香りのおかげで、思考過多となって窮屈になっていた自分自身が少しずつゆるまり、リラックスすることができていたのだと思いました。

 

-クラリセージはシソ科の植物。ヨーロッパでは野に咲きお庭にも植えるため暮らしに馴染む植物なのだそうです。-


クラリセージは子宮強壮作用・女性ホルモンの調整・月経緊張症・鎮痛作用がありますので、今思うとあの時の私の症状に本当にピッタリだったなと思います。今では生理痛に悩むお客様には私も積極的にオススメさせていただく精油のひとつとなりました。

 

クラリセージと聞くと精油はイメージできますが、ハーブティーではなかなかお見かけしませんね。しかしフランスのエルボリストリー(ハーブや精油を扱う伝統的な薬局)ではクラリセージのハーブティーが女性の不調に悩むパリジェンヌの暮らしに寄り添っているとお聞きし驚きでした!

 

名前の由来は「明晰性」「明るい」「清浄な」を意味するラテン語の「クラルス」が語源。上記のようにどうしてもクラリセージと聞くと「女性の不調のサポート」の効能イメージが強いのですが、他にも肺気を強壮し循環させる作用もあります。クラリセージにも呼吸器をサポートする効能がございますが、同じように抗感染作用のありますユーカリ、もしくはパインなどと一緒に調合し胸部をマッサージ(先ほどお伝えした手当療法と共に)する"おうちケア"が今この時期にとてもオススメです。

 

【疲労で浅くなった呼吸を深め感染予防と肺の強壮サポートオイル】のレシピ(長い...)

1. キャリアオイル(できればホホバオイルやスウィートアーモンドオイルが最適。なければエキストラ オリーブオイルでもOK)は酸化してないか確認しておきましょう。オリーブオイルも無い場合は乳液でもOKです。

2. キャリアオイル15mlにクラリセージ1滴・ユーカリを1滴を加えしっかり混ぜましょう。

3. 胸部に浸透していくようにゆっくり塗布し呼吸を深めます。

※肌の弱い方はパッチテストをしてから行うか使用はお控えください。

 

またクラリセージの香りは「インスピレーション(直観力)」とも密接な繋がりがあります。人間、不安に包まれているときは人生の真の目的とは切り離され、現状をハッキリと見ることが出来なくなってしまいますね。そんな時にはただ、広大な自然を思い浮かべ思い切りクラリセージを香ってみてください。無意識の中でインスピレーションが繋がり、あなたに必要な課題とサポートがやってきますので委ねてみてください。

 

今のようにアロマテラピー・フィトテラピー・オイルトリートメントを仕事とさせていただく前。私にも出会いのルーツがありました。そして答え合わせのようにあの時出会った精油と向き合ってみるのも面白い。

 

日々の美容と健康予防に、自然と繋がりながらケアをするアロマテラピーやフィトテラピー。取り入れてみませんか?

 

代表セラピスト/Minami Watanabe